普段の業務・個人としてのミッション
―皆様の普段の業務やミッションをお聞かせください。
吉川氏:私は、人事部 働きかた支援室のマネージャーとして、同席している西本と鈴木、さらに保健師1名の計4名のメンバーで、社員のヘルスケアおよび健康の保持・増進を推進する業務を行っています。2021年より社員の運動および健康意識を高めるため、ウォーキングイベントの企画・運営を行っており、その役割を主に担当しているのが西本です。
西本氏:人事部働きかた支援室は2013年に設立された組織で、社員のヘルスケア、育児、介護、キャリアサポート、定年再雇用など、働く上での様々なサポートを提供しています。私と鈴木は臨床心理士の資格を持っており、社員のメンタルヘルスについてのカウンセリング対応や復職支援などに取り組んでいます。また、予防活動としてセルフケア・ラインケア研修の講師や、ストレスチェックの実施とその後の分析や研修等も行ってきました。
また、コロナ禍を経て健康の大切さを実感するとともに、社員一人ひとりがイキイキと働くためには自身の健康に対して意識を持つことが重要であるとあらためて認識しました。そのため、他にも食生活改善のためのイベントなど、様々な取り組みを実施しています。
鈴木氏:私はこれまでメンタルヘルスに関わる仕事をしてきましたが、2023年の4月に住友林業に入社しました。現在は西本とともに業務を行っています。
在宅勤務へのシフトと健康促進
―aruku& for オフィスの導入にいたった背景についてお聞かせください。
コロナ禍以前から、育児などの理由で在宅勤務制度を利用している社員は存在していましたが、コロナ禍を経て、弊社も急速に在宅勤務を行う社員が増えました。緊急事態宣言の発令により、外出が制限されたことで運動機会が失われ、また、時差出勤などの対策が取られる中でコミュニケーション不足が生じました。
そこで、本社・本部の若手を中心とした「明るく元気でクリーンな職場作り委員会」が立ち上がり、様々な施策を検討しました。その中で、「健康促進の目的でウォーキングイベントを実施しましょう」という方針が決まり、それが導入のきっかけとなりました。
社員の健康管理とセルフケア意識の向上:建設業における取り組み
―健康経営や社員の健康においてどのような課題があったかをお聞かせください。
ストレスチェック制度が義務化された当初は、法定項目の設問のみで実施していましたが、社員の業務負荷や生活習慣など、社員自身がセルフケアを実施できているかを知りたいと思い、追加設問を加えました。すると、セルフケアの項目の数値が思ったよりも低く、危機感を抱くこととなりました。
また、若手社員からのヘルスケアイベントの実施を希望する声や、健康経営についての意識の高まりもあり、現在の取り組みに至っています。
弊社は「木」を軸とした様々な事業を行っていますが、なかでも住宅事業に携わる社員の人数が多く、お客様との打合せなどで時間が不規則になりがちで、長時間労働や睡眠不足、食事の不摂生や運動不足などの課題がありました。社員自身にさらに健康に対する意識を持ってもらうために取り組みを進めてきました。
本社主導の健康イベントは、aruku& for オフィスが初めて
―あるくと for オフィスの導入以前にやられていた健康イベントについてお聞かせください。
弊社では、関係会社を含めた野球大会や、社員が中心となり社内のサークル活動やクラブ活動で山登りやラグビーなどの活動を行ってきましたが、これらは健康を目的とするというよりも、コミュニケーションやレクリエーションの側面が強かったものでした。本社主導で全社員を対象とする健康を目的としたイベントは、aruku& for オフィスで初めて実現されました。
アプリ選定では信頼性を重視
―あるくとを知ったきっかけをお聞かせください。
ウォーキングアプリに関して、複数検討していく中で、当社が参加しているKenko企業会内にあった「ウォーキング分科会」の当時の幹事会社に相談をしたところ、ONE COMPATHさんを紹介していただき、「aruku& for オフィス」を知りました。
全社員が参加できる運動イベントで、健康への関心と一体感の醸成に期待
―あるくとの導入に際して、期待していたことをお聞かせください。
弊社は、日本全国に多数の事業所を展開しており、一斉に何かを行うことは難しい状況です。本社でトライアルを行ってから展開する場合、「本社だけでやっている」という不公平感が生じる可能性もあります。
そのため、全社員が気軽に参加でき、一体感を味わえるイベントを開催することが求められていました。特に、コロナ禍により外出や対面でのコミュニケーションが制限されていた状況では、アプリを活用して社員が自分のペースで運動できる環境を整え、運動不足の解消を促すことが重要でした。
また、運動イベントを通じて「あるくとやってる?」「今日何歩歩いた?」などのコミュニケーションが部署内外で生まれることを期待していました。これにより、社員間の交流や健康への関心が高まり、一体感が醸成されることが期待できます。
ウォーキングイベントをきっかけにした運動の意識変化
―5回のウォーキングイベントを経て、どのような成果がありましたか?
毎年、ストレスチェックの設問項目の結果を見ると、セルフケアの運動項目が初回から着実に改善しています。ウォーキングイベントが直接的な原因かは分かりませんが、参加者の中には運動意識が変わったと感じる方や、リピーターも多く、習慣化されています。
実際、イベント終了後も「ずっとやっているよ」「普段歩けていなかったことに気づけた」といった声が寄せられています。歩数を可視化することで意識が変わり、一駅前で降りて歩いたり、少し遠回りして帰ったり、階段を使ったりと、自分に合った運動方法を見つけているようです。
ウォーキングイベントが起点となり、参加者の運動意識や行動がポジティブに変わっていく様子は非常に喜ばしいものです。これからも、自分に合った運動を続けることで、より健康的な生活を送れることを期待しています。
無関心層を巻き込むためのアプローチ
―今後の課題をお聞かせください。
無関心層を取り込むことは簡単ではありませんでした。最初は新しい取り組みへの興味や部署対抗戦の影響もあり、一定の参加者が集まりますが、それを維持し、増やしていくことに課題を感じています。継続的な参加への働きかけはもちろんですが、歩数に応じてバーチャルの日本地図に木を植えていくなど、イベントの楽しさを伝えたり、デジタル賞品やグループ会社独自のノベルティをインセンティブにするなど工夫をしながら継続的な参加を促進しています。
また、食生活の改善も課題となっていますので、健康に良い食品を賞品として提供したり、他の食事に関する施策と組み合わせることで、参加者を増やす取り組みを行っていきたいと思っています。さらに、普段は自分のためには歩かないが、寄付のためなら歩くという人も存在することから、チャリティ要素を取り入れることも検討しています。
無関心層を取り込むためには、イベントの楽しさを伝えるほか、インセンティブやチャリティ要素を上手く活用するなど、今後も参加者の増加を実現するため、さまざまな戦略を検討し、改善を図っていきます。