健康経営とは?メリットや認定制度、取り組む際の手順をご紹介!
2024.02.15
近年、従業員の健康維持・増進に向けて「健康経営」を推進する企業が増えています。従業員の健康状態は企業のパフォーマンスを左右し、労働人口減少などの背景から、健康経営の重要性はさらに増していくことが予想されます。本記事では、健康経営のメリットや推進の方法など、健康経営に関する基礎知識をまとめてご紹介します。
健康経営とは
健康経営とは、従業員の健康管理を他の事業活動と同様の経営における課題としてとらえ、その課題解決に向けた取り組みを行うことです。
経済産業省は、健康経営について「健康経営とは、従業員の健康保持・増進の取組が、将来的に収益性等を高める投資であるとの考えの下、健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実践すること」と定義しています。1990年代にアメリカで提唱されて以降、従業員の健康は企業の発展にとって欠かせない要素であるという認識が広まっていきました。
健康経営に取り組むことは、従業員の活力や生産性向上といった効果をもたらし、結果的に業績向上につながります。
健康経営が提唱されている背景
従来、健康管理は従業員個人が行うものでしたが、なぜ健康経営という形で企業全体での取り組みが提唱されるようになったのでしょうか。その背景としては大きく以下の2つが挙げられます。
労働人口の減少
現在、日本は少子高齢化によって生産年齢人口(15歳~65歳)が急減しており、こうした情勢の中で、今後は1人当たりの生産性の向上がより強く求められるようになります。従業員が健康に問題を抱えていると最大限のパフォーマンスを発揮できず、生産性を高めることが難しいため、健康経営の重要性が増しているのです。
健康状態による企業への影響とリスク
昨今では、従業員の健康問題による企業への悪影響が顕著になっており、社会的な課題として認識されています。
たとえば、長時間労働やストレスによる生産性の低下や、労働環境が劣悪なことによる優秀な人材の離職など、さまざまな悪影響を及ぼす可能性があります。また、心身のストレスによって労働災害が発生すれば、賠償の責任を問われたり社会的信用が低下したりするなど、企業にとって大きなリスクになりかねません。
健康経営の認定制度とは
近年は、労働人口の減少に加え、働き方改革、人的資本経営の推進、さらにコロナ禍を経て定着したテレワークにおけるストレス対策といった観点から、健康経営に取り組む企業は増えてきています。
このような健康経営に取り組む企業が増加する背景には、企業だけではなく政府の取り組みも関係しています。そこで以降では、実際に政府が設けている健康経営の認定制度をご紹介します。
健康経営銘柄
東京証券取引所の上場企業から、健康経営に優れた銘柄を選定する制度のことです。
選定されることで、投資家にとって魅力的な企業であるとアピールでき、投資家から資金を集めやすくなるメリットがあります。
選定のためには、毎年8月ごろに行われている調査への回答が必要であり、組織体制や制度、施策の実施、コンプライアンスなどさまざまな要素を審査した上で選定されます。
健康経営優良法人認定制度
優良な健康経営を実践している全国の企業が認定を受けられる制度であり、大企業と中小企業の部門があります。
認定されると企業のPRなどに認定制度のロゴマークを活用でき、社会的に高い評価を受けることができます。公共調達の入札時に加点されるなど、一部の自治体や金融機関から受けられるインセンティブが存在することもメリットです。
健康経営優良法人ホワイト500・ブライト500
健康経営優良法人における大企業部門の中でトップ500に入る企業は「ホワイト500」、中小企業部門では「ブライト500」の認定を受けます。認定された企業は特別なロゴマークが与えられ、特に優良な健康経営を行っている企業として高い社会的評価を受けることができます。
企業にとって健康経営に取り組むメリットとは
企業は健康経営に取り組むことで以下のようなメリットを得られます。
メリット①:離職率低下・人材の定着
従業員の働く環境が悪く、身体やメンタルの健康状態に不調がある従業員が多い職場では、離職率も必然的に高くなり、人材が定着しません。健康経営を進めることで、離職率の低下と人材定着につながり、業務の知識・経験・ノウハウが蓄積される組織に変えていくことができます。
メリット②:ブランドイメージの向上
従業員の健康に配慮しない企業は、「ブラック企業」という印象を持たれることが少なくありません。
反対に、健康経営といった社会的な取り組みを率先して行っていることが認知されれば、企業のブランドイメージの向上が期待できます。また、取引先からの評価や、社会的な信頼の獲得にもつながります。
メリット③:採用活動の強化
健康経営の取り組みを採用活動において積極的に発信すれば、働きやすい環境を求めている求職者にとって有力な選択肢の1つとなり、応募数の増加につなげることができます。
昨今、売り手市場となっている採用市場において競合との差別化のポイントとして、健康経営は大きなメリットになり得ます。
メリット④:経営上のリスク回避
入院や治療といった健康問題によって従業員が職場を休職したり、離職したりすると、他の従業員が仕事をカバーする必要があり、企業全体のパフォーマンスが落ちて業績に影響するおそれがあります。また、人員を補充するために採用活動を強化する必要があり、採用コストが余計にかかる可能性もあります。
これらは企業にとって大きな損失であるため、経営上のリスクやトラブルを回避するための手段として健康経営推進は大きな効果を持ちます。
従業員にとって健康経営のメリットとは
健康経営に取り組むことは従業員にとっても以下のようなメリットを与えます。
メリット①:心身の健康維持・労働生産性の向上
健康経営を推進することは従業員の健康維持・増進に繋がります。
デスクワークや在宅勤務の従業員が多い企業は、体を動かす取り組みを推進することで従業員に運動の機会を提供することで運動不足解消につながる可能性があります。また、運動の機会を提供できない場合でも、従業員に健康を意識させるきっかけを与えることで、従業員の心身の健康維持に役立ててもらうこともできます。
また、従業員の心身の健康状態が改善することで、従業員の集中力やモチベーションが向上し、高いパフォーマンスを発揮できるようになります。そして、組織全体が活性化し、生産性向上の効果が期待できます。
メリット②:従業員ロイヤルティの向上
健康経営を通じて、企業が従業員の健康に真剣に取り組んでいると感じると、従業員の企業に対する信頼感の向上につながります。
企業に対する信頼感の向上などにより従業員の意識がプラスの方向に作用すると、結果として企業に対するロイヤルティの向上につながることがあります。
健康経営に取り組む際の注意点・デメリットとは
健康経営に取り組む際は以下のような点に注意する必要があります。施策内容によってはデメリットとなる場合もあるため、施策検討時には注意が必要です。
取り組み内容によっては効果検証がしづらい
健康経営は様々な取り組みがある一方で、取り組み内容によっては実施した施策の効果が見えづらく、効果検証がしづらいことがあります。
健康経営の施策は実施するだけでなく、施策結果や効果などにもとづいて検証を行うことが不可欠です。検証を行うことでより従業員とって最適な施策を実施していくことができるため、「効果検証のしやすさ」は取り組みを検討する上では重要なポイントです。
管理者の管理工数が増加する可能性がある
健康経営施策の実施にあたっては、実施前の準備や運用管理だけでなく前述の通り、効果検証をするための情報も管理していく必要があります。そのため施策内容によっては管理工数がかかりすぎてしまう可能性があります。
施策検討にあたっては、企業や従業員にとってのメリットだけでなく運用を行う管理者の管理工数についても考慮することが重要になります。
健康経営の取り組みを検討するにあたっては以上2点に注意する必要がありますが、近年では実施状況や結果をスマホやアプリで一元管理し可視化できるものも増えています。施策検討の際は、情報の管理手段も念頭に置いて比較・検討することがポイントです。
健康経営に取り組む際の手順
以降では、健康経営に取り組む際の手順についてご紹介します。
ステップ①:健康経営推進の宣言・明文化
まずは、組織全体で健康経営に取り組むことを社内外に対して宣言し、明文化します。
その際には、背景や目的、体制、スケジュールなどをまとめた情報を同時に発することも重要です。社内報などの媒体を活用するのも良いでしょう。
ステップ②:推進チームの構築
次に行うことは、健康経営に取り組むための体制づくりです。
プロジェクトチームを発足し、人事部や総務部など特定の部署から実行力、リーダーシップのある人材を専任します。場合によっては、主担当には「健康経営アドバイザー」の資格を取得させることや、「健康経営エキスパートアドバイザー」といった外部からアドバイスを受けられる環境を整えておくことも効果的です。
ステップ③:健康課題の確認
健康経営を効果的に進めるためには、現状の健康に関する課題を認識・把握することも重要です。
具体的には、健康診断やストレスチェックの診断結果、時間外労働時間、離職・休職の状況などを確認し、現状の経営状態における優先課題を特定していく必要があります。
ステップ④:計画の実行と評価
課題が明確になった後は、その課題を改善する取り組みを計画し、実行します。
単に実行するだけでなく、その後定期的に評価及び改善を行うことが重要です。計画の実行によって、生活習慣や健康の改善、参加者の満足度、仕事に対するモチベーションのアップなどの効果や反応をチェックし、施策の改善につなげることが大切です。
健康経営を推進する上でのポイント
健康経営を進める際には、以下3つのポイントを押さえておく必要があります。
健康経営理念を定め、社内外に発信する
健康経営を推進する際には、特定の部署ややる気のある従業員だけでなく、全社的に取り組むことが大切です。そのためには、経営陣が率先して推進する姿勢を示す必要があります。
経営陣が健康経営の重要性を認識するとともに、理念を設定して社内外に表明することで、全社的に取り組みやすくなり、企業風土としても定着しやすくなります。
従業員参加型の体制を整える
健康経営を効果的に進めるためには、従業員全体が積極的に取り組むことができる体制づくりも重要です。
具体的には、企画段階から従業員の意見を取り入れられる体制づくりや、健康経営に関する知識を付けられる勉強会や研修の実施など、健康について考える機会を数多く提供することが効果的です。
長期的な視野で取り組む
健康経営は取り組んですぐに結果が出るものではないため、長期的な視野で取り組むことも必要です。たとえば、従業員の健康状態や満足度、労働生産性などが取り組み前後でどのように変化したかを長期的にモニタリングするとともに、目標を設定し、達成に向けて計画を進めていくことが重要です。
健康経営の取り組みには従業員が参加しやすいウォーキングイベントがおすすめ
ウォーキングイベントは従業員が誰でも参加しやすく、長期的に取り組むことができる健康経営には最適な取り組みです。ウォーキングイベントによって従業員の健康改善につながるだけでなく、社員間で結果を共有しあうことで社員コミュニケーションの活性化を図ることもできます。
「aruku&(あるくと)」は低コストで導入可能な企業向けウォーキングイベントサービスアプリです。参加者はアプリを使って気軽に参加でき、管理者の運用をサポートする機能も充実しているため、導入や運用の手間も少なく健康経営のための取り組みを実施できます。
事例|ウォーキングイベントを実施。「健康経営銘柄2022」や「健康経営優良法人」の認定に寄与
高砂熱学工業株式会社様はもともと労働時間やメタボ率など健康に関する課題を多く抱えていましたが、健康増進施策として「aruku&(あるくと)」を活用しウォーキングイベントを実施しました。ウォーキングイベントは半年で6回のイベントを実施し全国の拠点で参加を募りました。その結果参加者からは、「運動する時間を作るようになった」といった運動の習慣化につながった声や、「体重が5kg落ちた」という報告もあり、従業員の健康や健康意識の向上といった結果につながっています。
また「健康経営銘柄2022」や「健康経営優良法人 大規模部門(ホワイト500)」にも選ばれており、従業員への効果だけでなく、企業として健康経営に取り組んでいることが広く認識される結果となりました。
高砂熱学工業株式会社様の事例詳細はこちら
ウォーキングイベントは、社員の運動を習慣化させるきっかけとなったり、健康への関心を高めたりするなど、実施により様々なメリットがあります。以下の資料ではウォーキングアプリ「「aruku&(あるくと)」を実際に活用して得られたウォーキングイベントによる効果を独自のアンケート結果により紹介しています。
健康経営のためにウォーキングイベントをご検討中の方は是非ご覧ください。