健康経営の課題とは?
参加率を上げる方法など課題に対する解決策を解説

従業員の健康を経営課題としてとらえ、その維持・増進を図る健康経営の重要性が認識されるようになっていますが、実際に取り組む際にはさまざまな課題があります。そうした課題もあってか、効果的な健康経営を実施できていない企業も依然として多いのが現状です。
本記事では、健康経営におけるよくある課題と、その課題の解決策を解説します。健康経営の施策がうまくいっていないと感じている企業の担当者の方、健康経営を推進する際に発生しうる課題を知りたい方はぜひご覧ください。

目次

健康経営の現状

健康経営とは、従業員の健康管理を他の事業活動と同様の経営における課題としてとらえ、その課題解決に向けた取り組みを行うことです。もともとはアメリカで提唱された概念ですが、テレワークの普及による運動不足や少子高齢化による人手不足などを背景に、日本でもその重要性が認識されるようになってきました。昨今では健康経営に積極的に取り組んでいる企業もよく見られるようになってきましたが、実際にどのくらいの企業が実施しているのか気になる方も多いかもしれません。

そこで以下では、日本における健康経営の現状について解説します。

健康経営の実施率

「人事白書調査レポート2020 新しい人事課題」によると、健康経営を実施していると答えた企業は30.8%でした。「あまり実施していない」が36.7%、「全く実施していない」が25.9%、「これから実施する」が6.6%となっています。

また、従業員規模5,001人以上の企業の実施率は50.0%である一方、従業員規模1~100人の実施率は23.0%となっており、小規模な企業と大企業では実施率に大きな差があることがわかります。
出典:日本の人事「人事白書調査レポート2020 新しい人事課題」

健康経営の位置づけと目的

同レポートにて、健康経営を実施する企業に健康経営の位置づけや目的を尋ねたところ、「経営課題」と位置付けている企業は半数を超え(51.9%)、最も高い割合となりました。次いで「安全衛生」(22.1%)、「福利厚生」(13.0%)、「企業ブランディング」(11.5%)となっています。

また、健康経営を行う目的(期待する効果)としては、「従業員満足度の向上」が81.7%でトップでした。以降、「生産性の向上」(58.8%)、「企業イメージの向上」(57.3%)、「既存の従業員の定着」(55.7%)と続き、実施することでさまざまなメリットを得られると期待している企業が多いことがうかがえます。
出典:日本の人事「人事白書調査レポート2020 新しい人事課題」

健康経営の課題

健康経営を通じて従業員の健康を増進することで、休職・離職率の低下や生産性の向上、企業ブランディングなど多くの効果が期待できます。しかし、前章でご紹介したレポートの調査結果からもわかるように、現状では健康経営に取り組んでいない企業も数多くあります。

健康経営に取り組んでいない企業が多いことの背景には何があるのでしょうか。以下では、健康経営の取り組みに際して課題となる要因をご紹介します。

実施するためのリソース不足

健康経営の担当者は人事部や総務部の従業員が適任です。しかし、これまで行ってきた業務に加え健康経営に関する業務も担当するようになると、業務負荷が過大になる場合があります。特に、昨今は人手不足に陥っている企業も多いため、こうした課題が顕在化しやすくなっています。

担当者のリソースが不足していると、施策を十分に練り上げることができず、健康経営戦略が絵に描いた餅になってしまう可能性があります。また、業務負荷が増大することで担当者の健康を損なう可能性もあり、そうなってしまえば本末転倒です。

人的リソースだけでなく予算面でのリソースが不十分な場合にも、思い切った施策が打てず期待した効果が得られない可能性があります。

目的に具体性がない

「生産性の向上」、「従業員の満足度向上」、「企業のブランドイメージ向上」など、健康経営を実施する目的を明確にしておかなければ、どのような施策を優先的に実行するべきか計画できなくなってしまいます。

目的が不明確だと従業員の理解と協力を得にくく、効果的な取り組みができないおそれがあります。あらかじめ数値目標を設定したり、達成したい状態を定義したりしておくことが必要です。

達成困難な目標を設定している

達成が困難な高すぎる目標を設定していると、従業員のモチベーションが上がらず思ったような効果を得られない可能性があります。従業員のモチベーションが低下すると、健康経営の一環として企画したイベントへの参加率が低い、参加しても形式的な取り組みとなってしまい積極的ではない、といった弊害が見られるようになります。

例えば、「社内の喫煙所を全廃」「残業を一切禁止」のような徹底した施策をいきなり始めると反発が大きくなりやすく、かえって従業員にストレスを与えることもあるので注意が必要です。

経営層が健康経営に消極的

健康経営を成功させるには全社的に取り組むことが不可欠であることから、経営層が本気で取り組む姿勢を見せることが重要です。

しかし、経営層が消極的な姿勢だと組織としての優先順位が下がり、従業員も本気で取り組もうとせず、全社的に効果のある取り組みにはなりません。さらに、予算や人員などのリソースを確保しようとしても上層部の承諾が得られず、効果的な施策を講じるのが難しくなることもあります。

期待した効果が見られない

健康経営を実施しても、生産性向上や企業イメージの向上といった期待した効果が見られず、むしろ新たな業務が発生して業務負荷が大きくなってしまう場合があります。

また、健康経営の取り組みが不十分であるために従業員の健康状態が改善せず、健康保険料や医療費の負担が減らないこともあります。期待した効果が見られない場合、目的と施策にミスマッチがあったり取り組みの期間や頻度が不十分だったりする場合があるので、再度目的や施策の内容などを検討することが必要です。

従業員の健康リテラシーが高まらない

健康経営に関する施策を実施しても、従業員の健康に対する意識や知識が向上しない場合もあります。健康リテラシーが高まらないと健康経営への積極的な取り組みへの参加を促せず、効果が限定的になってしまう可能性があります。

情報提供が不足していないか、またその方法が不適切でないかなどを検証し、情報提供をわかりやすくしたり研修の場を充実させたりするなどの施策が重要です。

施策(イベント)への参加率が低い

経営層や担当者が良かれと思って企画した施策やイベントでも、参加率が思うように高まらないことがあります。

従業員が参加しないよくある理由としては以下のものが挙げられます。
・参加のハードルが高くて面倒である
・参加するメリットがない
・今は健康に問題がないから参加しなくても良いと思っている
・そもそも施策やイベントがあることを知らなかった

参加率が低いと、当然組織全体で高い効果を得られません。そのため、従業員のニーズを事前にヒアリングしたり、実施日時や場所を参加しやすいものにしたりするなど、なるべく多くの人に参加してもらえるような工夫が必要です。

健康経営の課題の解決方法

では、上記のような健康経営の課題はどのように解決すれば良いのでしょうか。以下では、その解決方法をご紹介します。

専門部署の設置

人事部や総務部などの人的リソースが足りず、業務負荷の増大が起きそうな場合には、健康経営を専門的に扱う部署を設置することが解決策となり得ます。

専門部署を設置し、人員・予算などの十分なリソースを割り当てることで、効果的な施策の立案と実行が可能となります。その際には、健康経営のノウハウを持った専門家のアドバイスを得ると良いでしょう。

専門部署に充てるリソースを十分に確保できるよう、経営層の理解と協力を得ることも重要です。

明確な目的と目標の設定

健康経営の目的と具体的な数値目標、達成に向けたスケジュールを設定することで、取り組みの方向性が明確になり、効果測定も行いやすくなります。

従業員の健康診断受診率、メンタルヘルス研修参加率、有給休暇取得率など具体的に測定できる数値を目標として定めると効果的です。数か月から1年以内の短期目標と、3〜5年の長期目標を設定して、段階的な成果を実感できるようにするのも良いでしょう。

また、目標とともに健康経営が重要な理由も周知し、従業員の理解を得てモチベーションを高めることも重要です。

経営層のコミットメント強化

健康経営の取り組みを成功させるためには、健康経営を経営戦略の一環として位置づけ、トップダウンで推進することが不可欠です。

経営層が積極的に関与することで、全社的な取り組みとして定着しやすくなります。

そのためには、健康経営が経営戦略上重要である理由を、説得力をもって上層部に説明して理解を得る必要があります。

定期的な効果測定と改善

期待した効果がなかなか見られないという課題に対しては、定期的な効果測定と改善を行うことが大切です。

健康に関する指標や生産性に関する指標などをKPIとして設定して定期的に効果を測定・評価し、PDCAサイクルを回すことで継続的な改善が可能となります。

効果が芳しくない場合には、思い切って達成すべき目標や計画の段階から練り直すことが必要な場合もあります。

健康リテラシー向上のための取り組みを進める

健康経営の一環として、従業員の健康リテラシーを高める取り組みを実施する方法もあります。

具体的な方法としては以下のものが挙げられます。
・定期的に健康に関するセミナーを開催する
・専門家による講演や実施的なワークショップを通じて従業員の健康知識を向上させる
・従業員が気軽に健康について相談できる窓口を設置し、個別のアドバイスを提供する
・社内報やメールなどを通じて定期的に健康に関する情報を配信し、従業員の健康意識を高める など

気軽に参加できる施策(イベント)を実施する

健康経営の施策への参加率が低い課題に対しては、参加のハードルを下げたり参加するインセンティブを高めたりすることが重要です。
特に効果的な施策の1つがウォーキングイベントです。ウォーキングイベントが効果的な理由としては以下の点が挙げられます。

・特別な道具やスキルが必要ないので、実施のためのコストが低く、簡単に実施できる。
・歩くことがメインなので、健康や体力面で不安を抱えている人も気軽に参加しやすい。
・歩数や1日の目標歩数の達成日数を競い合うことで参加のモチベーションがアップする。
・部署や事業所対抗のようなチーム戦にすることで、チームワークや一体感の醸成、コミュニケーションの活性化にもつながる。
・賞品・景品などのインセンティブを用意することでさらに参加を促せる。

ウォーキングイベントの実施にあたっては、イベント当日に様子を記録したり、参加者の感想やフィードバックを集めたりして実施内容を振り返り、改善点を洗い出すことで、回数を重ねるたびにより魅力的なイベントにしていくことができます。

ウォーキングイベント実施にはaruku&(あるくと) for オフィスの活用がおすすめ

ウォーキングイベントを行う際には、専用のアプリを活用することで従業員の参加を促すことでき、イベントの効果を高められます。

aruku&(あるくと) for オフィスは、低コストで導入可能な企業向けウォーキングイベントサービスアプリです。従業員が自身のスマホにアプリをダウンロードするだけで簡単に導入できます。

健康経営優良法人の認定基準施策として健康経営を目指す多くの企業様にご活用いただいており、これまで200社以上のウォーキングイベントを支援してきた経験から、参加者を増やすためのノウハウをご提供いたします。

効果測定やデータの集計機能などを備えた管理者向けの管理ツールも充実し、参加者の積極性を高めるための企画も実施可能です。

aruku&(あるくと) for オフィスの詳細につきましては、下記のサービス資料をご覧ください。

企業・健保の健康経営や自治体の健康増進活動にはaruku&!
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