なぜ太るのか? 実に単純な話です。まずは、「1日20キロカロリー」、これを頭に刻んでください。ここが、肥満になるか、ならないかの境目で、あとは算数です。ある人が40キログラム太ったとします。脂肪は急に増えたり減ったりしないものですから、例えば、今40歳で、20歳の時から20年かかってそうなったとしましょう。これだとエネルギーの収支決算はしっかり合っているんです。食べて動かなければ、余ったカロリーは必ず脂肪になります。ここで考えないといけないのは、単純計算で1年に2キログラムずつ太ったこの人が、どれだけ食べ過ぎたのかということです。1キログラムの脂肪は、概ね7000キロカロリーで、皆さんの4日分の食事全部にあたります。すると、1年で14000キロカロリーですから、365日の日割りにすれば、この人は、40キロカロリー多目に食べた、ということになります。40キロカロリーというと、ざっとコーヒーに入れる砂糖の2杯分です。朝一番に飲んで、夜にもう1杯、たかだかコーヒーの砂糖です。私はコーヒーをブラックで飲んで、この人は朝と夜のコーヒーに砂糖を入れた、あとは何ら変わりがない。余計に食べたわけじゃない、おまけに本人もそれに気づいてない。体脂肪はそんな短期間で増えたり減ったりしないのです。これは体の50%以上を占める〝水〟が出入りしただけなのです。体脂肪が減るのと体重が減るのとは同じではないのです。基本的に体の脂肪は、簡単についたり減ったりしません。時間がかかるんです。だから、体重計で1キログラム増えたとか、「引っ越しして、何かしたら2キログラム減った」なんていうのは水分が出入りしているだけのことです。ちょっとした運動、例えば、5分歩けば20キロカロリーになります。たかだか5分なんですよ。私が講演で1時間立って話をすれば約85キロカロリー消費します。重力に逆らって立っているわけですから、安静時の1.2倍ほどエネルギーを使います。歩けば3倍以上もエネルギーが消費されます。たったこれだけですから、1日中、こうやって立つ、動くを繰り返していれば、みんな痩せるに決まっているわけです。