メタボと心筋梗塞
メタボリックシンドローム(以下、「メタボ」と略します。)とは、ポッコリとしたお腹(内臓脂肪の蓄積)に高血圧、高血糖、脂質異常の3つの中で、少なくとも2つ以上の代謝異常がみられる症候群のことです。
身体の中に内臓脂肪が異常にたまると、抗動脈硬化作用を持つアディポネクチンという善玉物質が減少してしまいます。その結果、心筋梗塞などの動脈硬化を進めます。
一般住民を対象とした端野・壮瞥(たんの・そうべつ)研究や久山町(ひさやままち)研究から、メタボの人が心筋梗塞などの心血管疾患になるリスクは、非メタボの人に比べて、2~3倍とされています。その原因は、普段の食生活における食べ過ぎや飲み過ぎ、運動不足などにあります。
心筋梗塞以外のリスク
メタボは、それ以外にも病気のリスクとなります。代表的なのは2型糖尿病です。その理由は、メタボの人の場合、血糖値を下げるインスリンというホルモンの効きが悪くなるからです。
また、メタボの人は、透析や腎移植などを必要とする末期腎不全の原因となる慢性腎臓病(CKD)にもなりやすいことが知られています。末期腎不全とは、腎機能が低下して、身体から老廃物の排出ができなくなる尿毒症となり、腎機能がおおよそ10%以下になり、透析や腎移植が必要な状態のことをいいます。タバコを吸うメタボの人は、この慢性腎臓病になりやすいことが知られています。それ以外にも、タバコを吸うと認知症や心疾患にもなりやすいことが知られています。早急な禁煙が望まれます。
さらに、中年期にメタボだった人は将来、認知症になるリスクも高まるそうです。その詳細なメカニズムについてはまだわかっていませんが、心血管疾患や糖尿病の予防だけでなく、将来の認知症予防のためにも、メタボを予防、またはメタボを解消しておくことが大切なようです。