毎年、冬が近づいてくるとインフルエンザの予防接種を受ける人が増えてきます。しかし一方で、予防接種を受けなくても元気な人もたくさんいます。予防接種は、本当に意味があるのでしょうか?
予防接種を受ける目的は?
予防接種とは、細菌やウイルスなどの病原体が作り出す毒素や病原性を弱めた「ワクチン」を接種し、その病原体に対する免疫を体の中に記憶させておくことです。
前もって予防接種を受けて免疫を記憶しておけば、病原体が体の中に入ってきても素早く免疫が機能してくれるため、病気にかかりにくくなります。
このように、予防接種の主な目的は「病気から自分自身を守ること」です。
また、予防接種には「病気を周囲の人に広がるのを防ぐ」という目的もあります。
できるだけたくさんの人が予防接種を受けると、社会全体としても病気にかかる人が減ることになるので、結果的に予防接種を受けていない人たちも病気にかかりにくくなります。
つまり予防接種には「病気から社会全体を守る」という目的もあるということです。
予防接種のためにかかる費用は、病気にかかってしまったときの検査費や治療費よりも少なく済みます。自分を守ることや社会を守ることだけでなく、経済面から見ても予防接種は大切と言えるでしょう。
予防接種を受けるより、自然にかかった方がいいのでは?
予防接種で獲得した免疫よりも、自然に感染して獲得した免疫の方がより強いという意見もあります。
しかし、自然に感染することは「発病する」ことになるのでリスクがより高くなります。ひどいときには脳炎や肺炎などの合併症を引き起こし、重い後遺症や生命に関わる事態に陥るかもしれません。
このようなリスクを避けるためにも、やはり予防接種は受けた方がいいでしょう。
また、風疹のように妊婦さんが感染するとお腹の赤ちゃんへの悪影響が出るような病気もあります。妊娠を希望するカップルで免疫を持っているかわからない場合は抗体検査を受けて抗体を持っているかを確認し、持っていないとわかったら早めに予防接種を受けるようにしましょう。
予防接種にも副作用があるって聞いたけど?
厳密には、「副作用」は医薬品に使われる表現で、予防接種のワクチンに対しては「副反応」と言います。
予防接種の種類によって異なりますが、約2〜3割の人に副反応が出ることがあります。しかし、通常は様子を見ているうちに治ってしまうような「ごく軽い症状」で済むことがほとんどです。
また、重いアレルギー反応や急性脳症などの重篤な症状が出る確率はゼロではありませんが、あまり心配することはないでしょう。
予防接種は、自分自身を病気から守るためにも、周囲の人を病気から守るためにも大切なものです。是非、予防接種の大切さを考えてみてはいかがでしょうか。