睡眠負債とは?
厚生労働省「平成29年国民健康・栄養調査結果の概要」によると、「ここ1ヶ月間、あなたの1日の平均睡眠時間はどのくらいでしたか」という質問に対し、20歳以上の成人で5時間を切っているのは男性の7.5%、女性の9.2%で、特に40歳代と50歳代の人の睡眠がとれていません。また、睡眠で休養が十分にとれていない人の割合は 20.2%と、平成21年(2008年)の調査から増加しています。
このように、日常の睡眠不足が借金のように溜まり、心身に悪影響を及ぼすことを「睡眠負債」と呼んでいます。睡眠不足は生活の質や仕事の効率を低下させるだけでなく、健康にも関係しているわけです。
睡眠負債の判定
睡眠負債がたまると、昼間の眠気、倦怠感、集中力の低下などの症状がよくみられます。平日は睡眠時間が短くても、休日は睡眠時間が極端に長くなる人がいます。休日は翌週に向けて、スポーツや買い物などをして活動的にリフレッシュしたいものですが、疲れていると家でゴロゴロしてしまいます。例えば、平日(5日)は睡眠時間が5時間なのに、休日(2日)の睡眠時間が8時間の人がいます。本当は7時間の睡眠時間が必要な人が、5時間の睡眠時間しかとれないと、1週間当たり10時間((7時間-5時間)×5日)の睡眠負債がたまっています。しかし、休日に2時間((8時間-7時間)×2日)の睡眠負債という借金しか返していません。その結果、慢性的な睡眠不足となってしまうわけです。
内臓脂肪蓄積と睡眠負債
睡眠不足は、内臓脂肪の蓄積を招くことが疫学的な研究から示されています。睡眠不足が食欲を増加させるメカニズムとして、満腹ホルモンであるレプチンが減少し、摂食ホルモンであるグレリンが増加して食欲が出るという、太りやすいホルモン環境になることが知られています。食事の嗜好も変化し、炭水化物や塩辛いものが食べたくなります。また、睡眠不足になると疲れて身体活動量が低下してしまいます。その結果、肥満が助長され、内臓脂肪が蓄積されてしまうのです。
休日に、寝だめをするだけでは睡眠負債を解消することはできません。なぜなら、生活リズムを乱すことで月曜日の朝が起きにくくなるなど、いわゆる「ブルーマンデー症候群」につながるからです。
15分程度の昼間の仮眠、朝の日光を浴びて体内時計をリセット、夜遅い食事や大食いを避ける、寝る前に明るい光やブルーライトを見たり浴びたりしないようにするなど、睡眠衛生に注意を払うことが大切です。
このように、睡眠負債も内臓脂肪も溜めないことで、脳も体もすっきりして過ごすことができます。
お金は貯めても、これらはぜひ溜め込まないようにしましょう。
内臓脂肪については、こちらの健康コラムもご参照ください。
睡眠および睡眠負債については、こちらの健康コラムもご参照ください。