「手をついただけで手首を骨折した」「敷居につまずいて転倒したら足を骨折した」
みなさんの周りにこのようなご高齢の方がいらっしゃるのでは?
そう、これが骨粗しょう症が原因で起こる骨折です。WHO(世界保健機関)では「低骨量と骨組織の微細構造の異常を特徴とし、骨の脆弱性が増大し、骨折の危険性が増大する疾患である」と定義しています。
高齢社会になり、珍しくなくなった疾患ですが、予防する方法はあるのでしょうか。
骨粗しょう症には原因として考えられる2項目があります。
1つめは改善できない項目で、加齢、性※、家族歴、早期閉経などが挙げられます。
これらは自分ではどうすることもできないので、受け入れるしかありません。
2つめの改善できる項目には、食事や運動、日光浴があります。これらは皆さんの努力次第で変更可能です。
つまり生活習慣を変えることが骨粗しょう症の予防につながるのです。
※男女比は約1対3で、女性が男性の約3倍です。
まずは、食生活の見直しです。骨といえば、最初に思い浮かぶ栄養素がカルシウム。カルシウムは体重の1-2%占めています。
そのうちの99%が骨と歯に、残りの1%は血液中や細胞内にあります。
骨は常に作り変えられ、慢性的に食事によって摂取されるカルシウムが不足すると骨の組織がスカスカ状態になり、骨折しやすくなります。
ただ、カルシウムを摂取しても、急に骨の強度が増すわけではありません。できるだけ若いうちからコツコツ摂ることが大切です。
栄養相談では高齢者の女性から、次のように尋ねられることがしばしばあります。
「カルシウムといえば乳製品。骨粗しょう症予防のためにヨーグルトを毎日500gと牛乳を毎日800ml(コップ約4杯)飲んでいるので、これで骨折しませんよね?」と。
確かにこれだけ乳製品を摂ればカルシウム摂取量は1,500mgとなり、成人女性一日のカルシウム食事摂取基準の2倍以上となります。
しかし、このようなカルシウムの摂り方で良いのでしょうか。答えは次号にお届けします。お楽しみに。