コラム

善玉と悪玉コレステロール

2019年6月19日
提供元:
NPO法人エビデンスベーストヘルスケア協議会 株式会社ライフケアパートナーズ
コレステロールには、いわゆる善玉とよばれているHDLコレステロール(HDL-C)と、悪玉とよばれているLDLコレステロール(LDL-C)があります。
これは荷物を運ぶトラックに例えられることがあります。
肝臓工場で作られたコレステロールは、全身の組織に必要な分のコレステロールを、LDLというトラックが血管という道路を走りながら運んでいます。
ところが、積み荷であるコレステロールの量が多いと、途中の血管でポロポロとこぼしていきます。
それが血管内の同じ場所にたまると、プラークという動脈硬化となります。
高速道路でトラックから積み荷が落ちていたら大変です。
血管という道路はプラークで凸凹になり、何かのきっかけで血栓(血液が固まること)ができると道路が遮断されてしまいます。
これが心臓に起こると心筋梗塞、脳に起こると脳梗塞になります。
逆に、全身の組織から肝臓工場へは、HDLというトラックがコレステロールを運んでいます。
ところが、HDLコレステロールの値が低い人は、全身の組織や血管からコレステロールを引き抜く力が弱くなっており、肝臓まで上手に運ぶことができません。
そのため、動脈硬化が起こりやすくなります。脂質異常症の診断基準は次のとおりです。(表1)
それでは、HDLコレステロール値を増やし、LDLコレステロール値を減らすにはどうしたらよいのでしょうか。
残念ながら、HDLコレステロールを、直接増やす有効な薬は現在のところありません。
しかし、禁煙すること、肥満の解消、運動することでHDLコレステロールを増やすことができます(表2)。
LDLコレステロールを減らすには、運動、減量、血糖管理、節酒に加え、菓子パンなど飽和脂肪酸を控えることが大切です。
参考
坂根直樹:クイズでわかる保健指導のエビデンス50、中央法規、2013年