コラム

NEAT=ちりも積もれば

2017年11月21日
提供元:
NPO法人EBH推進協議会
株式会社ライフケアパートナーズ
ちりも積もれば
今、世界各国の肥満研究者の間で注目を集めているのが、NEAT(非運動性熱産生)という考え方です。
1日のエネルギーの消費量のうちの概ね半分ちょっとが基礎代謝で、人が生きていくために使うエネルギーです。心臓が動いたり、呼吸したり、筋肉でエネルギーを使って体温を維持したり等々、必ずエネルギーを使います。あとは、食餌誘発性熱産生と言いますが、食事した後にもエネルギーが使われます。食べた物を消化吸収して、輸送・分解・燃焼したり、貯蔵したりする時にエネルギーが必要なわけです。
ですから、食事は朝・昼・晩きっちり食べたほうが、食後の熱産生が高い。一食でドカッと食べるよりは、三食に分けたほうが痩せやすいということですね。実験でも、1日同じカロリーを一食で摂ったときよりも三食に分けて摂った時のほうが食後、熱産生が高くなることが明らかにされています。
それ以上に大きいのが、このNEATです。運動以外の、1日の何気ない動作全てを指します。立っているのもNEATなら、前かがみになったり、手を挙げたり、電話を持ったり、手洗いで立ったり座ったりするのもNEATです。運動未満の、こんなささいな動作で、人間は1日の4割近いエネルギーを消費しているんです。だから基礎代謝以上に、NEATにおいてカロリーを消費するかしないかが、太るか太らないかの大きな分岐点になると言われています。
目が覚めてから始終動き回っている弥生時代には、糖尿病なんてなかったわけです。それに比べて現代では、ほとんど動きません。加齢とともにNEATも減っていきますが、個人差がすごくある、という点が目につきます。70代前後で、自宅に引きこもってしまわれたりすれば、NEATの差は2~3倍どころではなく、4~5倍、違ってきます。肥満に至るかどうか、説明がつきやすいわけですね。